RRF
アールアールエフ

RRF(Reciprocal Rank Fusion)とは、複数の検索手法が返すランキング結果を統合するスコアリング手法である。各手法での順位の逆数を合算することで、異なるスコア体系を正規化なしに融合できる。
ハイブリッド検索の要
RAG パイプラインでは、BM25 によるキーワード検索とベクトル検索(セマンティック検索)を併用するハイブリッド構成が一般的だ。しかし、BM25 のスコアとコサイン類似度はスケールも分布もまったく異なるため、単純に足し合わせても意味のある統合にはならない。
RRF はこの問題をシンプルに解決する。各検索手法が返した文書の「順位」だけを使い、1 / (k + rank) のスコアを全手法分合算する。定数 k(通常 60)は順位の重みづけを調整するパラメータで、値が大きいほど上位と下位の差が縮まる。
計算例
ある文書が BM25 で3位、ベクトル検索で7位に出現した場合:
RRF スコア = 1/(60+3) + 1/(60+7) = 0.0159 + 0.0149 = 0.0308
片方の検索でしかヒットしない文書よりも、両方でそこそこの順位に入る文書が上位にくる傾向がある。これがハイブリッド検索の安定性につながる。
実装上の注意点
RRF は元のスコアの絶対値を使わないため、検索エンジン間のスコア校正が不要という利点がある一方、同順位の文書が多い場合やロングテールの文書の扱いには注意が要る。Elasticsearch 8.x 以降や Weaviate、Qdrant など主要なベクトル DB がネイティブで RRF をサポートしている。
この用語を扱う記事
- ハイブリッド検索とは?ベクトル検索×全文検索でRAG精度を上げる仕組みと実装ハイブリッド検索の仕組みをベクトル検索・BM25・RRFの観点から解説。RAGシステムの検索精度を高める設計パターンと実装時の注意点を実務目線でまとめます。
- ベクトルデータベースとは?仕組み・主要製品比較・RAG活用まで徹底解説ベクトルデータベースの基本概念から、Pinecone・Weaviate・pgvectorなど主要製品の比較、RAGシステムへの活用方法まで、AI導入担当者向けにわかりやすく解説します。
- RAG 構築の失敗パターン10選と回避策 — 本番運用で起きる問題を事前に防ぐRAG構築で本番運用前後に起きやすい失敗パターン10選を解説。チャンク設計の誤り・検索精度の低下・ハルシネーション対策まで、実装前に知っておくべき回避策を具体的に紹介します。
- Adaptive RAGとは?クエリ主導の動的検索でコストと精度を両立する方法すべての質問で検索を行う従来RAGの非効率を解消するAdaptive RAG(能動的検索)の仕組み・実装パターン・タイB2B企業への適用例を解説します。
関連用語

Agentic RAG
Agentic RAG とは、LLM がエージェントとして検索クエリの生成・結果の評価・再検索の判断を自律的に繰り返すことで、単純な一問一答型 RAG では得られない回答精度を実現するアーキテクチャで

エンベディング
エンベディング(Embedding)とは、テキスト・画像・音声などの非構造化データを、意味的な関係性を保ったまま固定長の数値ベクトルに変換する技術である。

GraphRAG
ナレッジグラフとベクトル検索を組み合わせ、エンティティ間の関係性を活用して検索精度を向上させる次世代RAGアーキテクチャ。

Gemini Embedding 2
Gemini Embedding 2 とは、Google が開発したマルチモーダル対応のエンベディングモデルであり、テキスト・画像・動画・音声・ドキュメントを単一のベクトル空間に変換できる。



